海外研修における旅行会社の利用 | JCSOS 海外留学生安全対策協議会

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海外研修における旅行会社の利用

学校の派遣留学・海外研修において、特に短期間のプログラムでは旅行会社を利用することも多くあります。渡航の専門知識を持ち、旅行業法という法律の下に業務を営む旅行会社と協力することにより、渡航手続き等の業務負担の軽減、派遣時のリスクの分散が期待できます。なお、旅行会社の認可登録区分、また、旅行を実施する際の旅行契約形態によって、学校と旅行会社それぞれの責任範囲が異なります。旅行会社を利用する場合は、旅行業法、旅行会社の種類や法的な責任範囲について正しく知っておくことが有用です。

学校の海外研修において旅行会社を利用する際の留意ポイント

  1. 旅行契約形態によって異なる法的責任範囲
  2. 手配旅行における弔慰見舞金保険(海外旅行保険)の備え
  3. 登録種別により業務と責任範囲が異なる旅行会社
  4. 企画旅行中の無手配期間とは
  5. 旅行会社と留学エージェントの違い

旅行業法で定められた旅行契約形態には、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行があります。それぞれの定義と契約を請け負った旅行会社の責任範囲は以下の通りです。
学校の海外研修プログラムを企画旅行(募集型・受注型)で実施する場合には、旅行会社に「旅程管理」、「旅程保証」、「特別補償」が義務付けられ、学校のリスクは軽減されます。一方、長期の派遣留学等でよく利用される手配旅行は手配を行ったら債務は終了し、旅行者への補償はありません。

学校の海外研修
企画旅行で実施
[旅行会社の責任]
旅程管理
旅程保証
特別補償 死亡時2500万円
手配旅行で実施
[旅行会社の責任]
手配を行ったら債務終了
旅行者への補償なし
死亡時 0円
旅行契約形態の種類
募集型企画旅行 旅行会社が、自ら旅行を企画し不特定多数を対象に旅行者を募集するものをいいます。学校の海外研修プログラムにて、旅行会社が旅程、内容、旅行代金を決めて、プログラム全体を主催して募集・実施するようなケースです。
募集型企画旅行の実施に際して、旅行会社には、下記で説明する「旅程管理」、「旅程保証」、「特別補償」の責任が義務付けられます。
受注型企画旅行 旅行会社が、旅行者の依頼により旅行を企画し、実施するものをいいます。その企画に対し、手配料、企画料等を含めた料金で契約を行います。学校の依頼による海外研修プログラムでは、旅行会社は団体・グループ手配において、この受注型企画旅行で行うことが一般的で、学校が複数の旅行者(学生)の責任ある代表者となり旅行に申し込みます。
受注型企画旅行の実施に際して、旅行会社には、下記で説明する「旅程管理」、「旅程保証」、「特別補償」の責任が義務付けられます。
手配旅行 旅行会社が、旅行者の委託により、代理、媒介又は取次をすること等により、運送や宿泊等の旅行サービスの提供を受けることができるように手配を引き受けるものをいいます。旅行者は航空券、宿泊など、サービスの個々を旅行会社から購入します。手配旅行では旅行代金の他、旅行会社の定めた手数料が必要になる場合があります。長期の派遣留学などは手配旅行で実施されるのが一般的です。
手配旅行では、旅行会社は手配の代理のみに責任を負い、手配終了後は旅行会社の責任は発生しません。旅行中に起きた事故、旅程の変更等も、その原因が旅行会社のミスである場合を除き、旅行者の自己責任の範疇で処理することになります。
旅行会社の責任
旅程管理 旅行者に対する運送や宿泊サービスなどの計画に変更が生じた場合における代替サービスの手配など、旅行者の安全と旅行の円滑な実施を確保するために旅行会社が行う措置のこと。
≪責任の有無≫ 募集型企画旅行(〇)、受注型企画旅行(〇)、手配旅行(×)
旅程保証 天災地変などの免責事由以外で、契約書面通りにサービスの提供がなされなかった場合に、旅行会社が旅行者に対し変更補償金を支払う責務を負うこと。
≪補償の有無≫ 募集型企画旅行(〇)、受注型企画旅行(〇)、手配旅行(×)
特別補償 旅行会社の責任の有無を問わず、旅行参加中に急激かつ偶然な外来の事故により旅行者がその生命、身体または携帯品に被った一定の損害について、予め定められた補償金、及び見舞金が支払われること。
【海外旅行における特別補償】
・死亡後遺障害:2,500万円
・入院見舞金:4万円~40万円
・携行品損害:1個につき10万円限度(1人につき上限15万円)
≪補償の有無≫ 募集型企画旅行(〇)、受注型企画旅行(〇)、手配旅行(×)
取消料の規定について
募集型企画旅行 旅行者(契約者)は規定の取消料を支払うことによって旅行の参加を取りやめることができます。企画旅行の場合、取消料の規定は旅行業約款により定められています。
受注型企画旅行
手配旅行 旅行者(契約者)は規定の取消料を支払うことによって旅行の参加を取りやめることができます。手配旅行の場合、取消料の規定は旅行会社によって個々に規定されます。

学校のプログラムが手配旅行契約として実施される場合には、旅行会社から特別補償は支払われません。しかし、学校に法的責任がない場合でも、道義上の補償を求められることがあり、そうしたケースにも備える必要があります。JCSOS海外危機管理システムではその備えとしてオプションで弔慰見舞金保険(海外旅行保険)を案内しています。くわしくはJCSOS事務局までお問い合わせください。

旅行業法における旅行会社は登録制で、登録種別によって業務の範囲が異なり、「第1種旅行業者」、「第2種旅行業者」、「第3種旅行業者」、「地域限定旅行業者」、「旅行業者代理業者」に区分されます。登録種別により企画旅行を取り扱うことができる旅行業務の範囲、また弁済業務保証金の金額も異なってくるため、学校が旅行会社を利用する際には登録の種別を確認しておくことが重要です。

旅行会社の登録区分の確認

企画旅行にて、留学期間中であっても旅行会社が運送や宿泊などの旅行サービス手配の提供を一切行わない日を設定することができます。こういった期間を無手配日と呼び、この期間は予め取引条件説明書面にて明記されます。例えば、出発時と帰国時の航空便と空港送迎のみを旅行会社が手配し、滞在中は無手配期間とする中抜きツアーと呼ばれる形式がこれに当たります。無手配期間は旅行会社による「旅程管理」、「旅程保証」、「特別補償」の対象外となります。

企画旅行における無手配期間のイメージ

派遣留学・海外研修プログラムにおいて、留学エージェントへ業務委託をすることもあります。留学エージェントは、一般的に留学プログラムの提案や手続きの代行、滞在先手配のサポートなどを行います。学校にとっては、自らプログラムを開発する手間を軽減できたり、現地情報の入手が容易であること、また、手続きの代行による業務効率化などのメリットを享受できます。一方で留学エージェントは、旅行会社と異なり、行政による登録認可制度はありません。その責任や補償の範囲は各会社の定めるところとなるため、契約の際には確認が必要です。ただし、留学エージェントが旅行業登録をしている場合には旅行業法が適用されます。