海外危機管理情報 2023年2月9日版 | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|教職員向け

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お知らせ

海外危機管理情報 2023年2月9日版

1.【中東】トルコ:地震に関連するフェイクニュースに注意
 2月6日にトルコ南部からシリア北部の一帯で起きた強い地震について、SNS上ではフェイクニュースまたはデマとみられる情報や映像が出回っている。中には過去の別の場所で起きたものの映像であるなど、明らかに誤りだとわかるものもある。例えば、東日本大震災の津波の映像や、レバノンのベイルートで起きた倉庫の爆発の映像である。しかし、今では画像や映像の編集が簡単にできることもあり、一見すると本物かと思ってしまうような作り物の画像や映像もあるので注意が必要だ。
 各国のメディアらは、災害発生時には誤った情報が多数拡散するとして、注意を呼びかけている。

ワンポイント・アドバイス
 注目を浴びたいという動機で誤情報を作成したり拡散したりする者は後を経たない。特に大災害時においては多くの人が注目することからフェイクニュースやデマが多く出回る。フェイクニュースを信じてしまうと、自分にとってリスクのある誤った行動につながりかねない。
 学生等に対しては、次々に流れてくる画像や映像に対しては、そのまま鵜呑みにするのではなく、信頼性の高い情報を取得して冷静に判断し、惑わされないよう気をつけることを伝えられたい。


2.【アジア】タイ:大気汚染悪化
 タイ・バンコクとその周辺では大気汚染のレベルが急上昇し、2月2日、現地当局は市民らに対し、できるだけ屋内にとどまり激しい野外活動を避けるよう勧告した。
 バンコクのPM2.5の濃度は世界保健機関(WHO)が推奨するレベルの14倍になっているという。大気汚染の原因は、自動車の排気ガスと農地での野焼きで出る煙などが停滞した気象条件と相まって大気の状態を悪化させているものとみられている。地元住民らは視界が悪く呼吸も苦しい、「目が焼ける」などの状況を訴えているという。
 WHOは、PM2.5は低濃度でも健康被害につながるリスクがあるとして、昨年ガイドラインを変更し、PM2.5の平均測定値は1立方メートルあたり5マイクログラム以下を推奨している。対してバンコクとその周辺地域のレベルは同70.5マイクログラムだという。
したり
ワンポイント・アドバイス
 大気汚染はインドやタイなどアジア地域で問題とされることが多いが、あらゆる場所で起こりうる。特に大気の状態が悪くなることが予想されたり、例年大気の状態が悪化したりする時期がある場合には、このケースのように当局が勧告を出すことがある。海外留学・研修を予定する学生等に対しては、現地では天気予報や関連情報の確認と合わせて、当局から出る情報や勧告、命令なども最新のものを確認するよう伝えられたい。また、大気汚染がひどいと感じた場合には、マスクを着けたりスケジュールを変更したりして不要不急の外出をしないなど、自分でできる対応をすることを伝えられたい。


3.【米州】アメリカ:目薬で感染症や死亡の報告、リコールに
 2月2日、アメリカ食品医薬品局(FDA)によれば、インドの製薬会社グローバル・ファーマ・ヘルスケアの点眼薬「Artificial Tears Lubricant Eye Drops」について、感染症を引き起こす可能性があるとしてリコールが発表された。
 問題の点眼薬は10種類余あり、エズリケアとデルサム・ファーマという2社を通じて全米で販売されている。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、1月末時点で、12州で報告された55件の感染症例について、この製品に関係している可能性があるとみて調べている。CDCによれば、角膜や呼吸器、尿路等の感染症や敗血症の症例が報告されており、中には視力を失ったり入院したりした患者もいるほか1人が死亡しているとしている。
 問題の点眼薬は防腐剤不使用で、CDCによれば、開封済みのエズリケアの容器を検査したところ、幅広い抗生物質に対して耐性を持つ緑膿菌が検出されたとして、未開封の容器についても検査が行われている。
 FDAは消費者に、問題の点眼薬の使用中止を呼びかけるとともに副作用があればFDAに報告するよう促している。

ワンポイント・アドバイス
 日本では一般的なタイプの医薬品と同種の薬でも、海外で販売されている薬を日本の薬と同様に気軽に使用してしまうと、体質に合わなかったり、思わぬ副作用が出たりすることがありうる。さらに、今回のケースのように汚染されているような場合には重大な事態に繋がりかねない。
 海外留学・研修を予定する学生等に対しては、日常的に使用している医薬品がある場合はもちろん、そうでない場合でも必要最小限の医薬品は日本から持参するよう伝えられたい。


4.【中東】イスラエル:観光客が教会でキリスト像破壊
 2月2日、イスラエル・エルサレムの旧市街の教会でキリストの木像が破壊された。破壊したのは40代のアメリカ人観光客で現地警察に逮捕された。
 この観光客はユダヤ人で偶像崇拝に反対する言葉を発しており、ハンマー様の物を持っていたという報道もある。

ワンポイント・アドバイス
 今回の事件の容疑者は故意に木像を破壊したという報道もある。しかし、故意でなくとも展示物や自然にあるもの等を損傷してしまうということはあり得る。ふざけていたり、写真を取ろうと無理な体勢を取ったり、何の気無しに触れてしまったりなど、ちょっとしたきっかけが思わぬ大事につながることがありうるので、海外留学・研修を予定する学生等に対しては、現地での行動は自覚を持って軽率なことをしないよう気をつけることを伝えられたい。


                                   以上
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