■リスク分析(緊急時に予想されるリスクとその対応)
・派遣留学・海外研修と安全配慮義務
派遣留学や海外フィールドスタディ研修を行う学校は派遣先における被派遣者の死亡事故や感染症罹患などの事件・事故が発生した際の対応をはじめとする様々なリスクを抱えています。その時にあやまった対応を行うことは学校のブランドイメージを著しく損なうと共に、保護者や学生(生徒)の信頼はその対応への期待に比例して大きいということを考慮しなくてはなりません。
特に万が一の事件・事故の発生時に、大きな焦点の一つとなるのが、学校が研修を行う際に最善の注意を払っていたかどうか(安全配慮義務)です。
多くの海外派遣研修で事件・事故の発生の際に問われるのは不法行為や債務不履行にかかわる学校の過失責任ですが、学校が派遣した学生(生徒)・教職員が事件・事故に遭遇した場合には、特にその過失責任の中の注意義務違反を問われます。この注意義務違反は結果の発生が予見される可能性(結果予見可能性)と予見できた損害を回避すべき義務(結果回避義務)にわけることが出来ます。
昨今、海外への派遣プログラムにおいても事件・事故の件数は増加しており、またテロや自然災害のほか感染症なども発生からそれほど時をおかずに世界中へ拡散するなど、不安定な要素の取り除くことは不可能です。こうした状況で結果予見可能性を前提とした結果予見義務および結果回避義務への備えを万全にしておくことが、海外研修を行う学校に求められています。
・派遣留学・海外研修と旅行業法
学校が実施する派遣留学、海外研修を検討するときには、旅行業法の内容を知っておく必要があります。なぜなら日本の法律の中で、「旅行業法」が旅行者の安全確保に関して言及している唯一の法律になるからです。この法律では「旅行業等を営む者について登録制度を実施し、(略)旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする」(旅行業法第1条)とあり、旅行者の安全確保を求めております。
したがって海外における安全確保を担う旅行業者と相談せず派遣留学、海外研修を実施しようとする学校は彼らの安全確保を独自に構築しなくてはなりません。
派遣留学や海外研修を旅行業にあてはめると、手配旅行・募集型企画旅行・受注型企画旅行の3つの形態に分けることができ、旅行形態によりその責任範囲が異なります。
*旅行会社は、企画旅行の参加者に特別補償保険をかけることが法的に義務づけられており、参加者が旅行中に急激かつ偶然な外来の事故によって生命、身体または手荷物の上に被った一定の損害について、あらかじめ定める額の補償金および見舞金を支払います。 |