2021年に入りアジア系住民に対するヘイトクライムが急増(米国) | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|教職員向け

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危機管理コラム

2021年に入りアジア系住民に対するヘイトクライムが急増(米国)

the AAPI Hate Report Centerより

今年(2021年)4月下旬から5月初旬にかけて、米国・カリフォルニア州に本拠地を置く2つの団体からアジア系住民に対するヘイトクライムのレポートが発表されました。カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校Center for the Study of Hate and Extremism によると、米国の15都市・1郡 において、アジア系住民に対するヘイトクライムの通報が2020/2021年の1月~3月と比較した場合、169%(202032件から202186件)増えており、特にアジア系住民が多く居住しているニューヨークでは223%、サンフランシスコでは140%増加していると分析結果を発表しています[i]。同様にサンフランシスコ州立大学が中心となり設立されたStop AAPI Hate Reporting Center(以下、AAPI Hate)が発表した2021年5月6日付のレポートによれば、2020319日にAAPI Hateが設立されてから2021331日までの約1年間で6,603件のヘイトクライムの報告が米国全土やカナダからも寄せられており、その内、20211月~3月に発生した事例が36%(2020319日から1231日までの9ヶ月弱の間4,193/20211月~3月の3ヶ月で2,410件)を占めていると発表しています[ii]。またヘイトクライムの多くは商業活動時(32.2%)や公共の場所(道路や公園/29.4%)で発生しており、差別的な言葉をののしられるなどの口頭での嫌がらせ(65.2%)や意図的に避けられる(18.1%)の行為が大部分を占めているとのことです。2021年に入り、アジア系住民のヘイトクライムが急増していることは明らかです。

このような状況下で渡米した場合、ヘイトクライムに遭遇する確率は以前よりも高くなっています。そのため、出発前にヘイトクラムの傾向(発生場所や行為)を知り、その対処方法を身に着けて渡米することをお勧めいたします。AAPI Hateのホームページでは、ヘイトクライムに遭った場合の具体的な対処方法(『ヘイトの経験や目撃をした方への安全上のアドバイスーヘイトを経験したときに考慮すべき 5つの事・ヘイトを目撃した時に行うべき5つの事-[iii])が英語、日本語、中国語、韓国語などを含む14言語で紹介されています。学校関係者におかれましては、日本国・外務省海外安全ホームページなどの情報とともに、AAPI Hateのような情報も参照しながら、留学再開に向けて、準備されることをお勧めいたします。

(文責:JCSOS事務局 上野明彦)


[i] California State University, San Bernardino Center for the Study of Hate and Extremism ”Report to the Nation: Anti-Asian Prejudice& Hate Crime” April 28th,2021
(閲覧日:2021511)

[ii] Russell Jeung Ph.D., Aggie J. Yellow Horse, Ph.D., Charlene Cayanan “STOP AAPI HATE NATIONAL REPORT 3/19/20 – 3/31/21,” the AAPI Hate Report Center, May 6th,2021
(閲覧日:2021511)

[iii] The AAPI Report Center『ヘイトの経験や目撃をした方への安全上のアドバイスーヘイトを経験したときに考慮すべき 5つの事・ヘイトを目撃した時に行うべき5つの事-
(閲覧日:2021511)