海外危機管理情報 2025年11月27日版
1.【欧州】スペイン:バルセロナでの窃盗・強盗
スペイン・バルセロナ市内各所で、日本人が強盗・窃盗の被害に遭うケースが多数報告されているとして、在バルセロナ日本国総領事館が注意喚起を出している。発生時間帯も深夜に限らず、白昼堂々行われる場合もあるという。また、複数人で行動していても被害に遭っているとのこと。
液体などをかけられ、気を取られた隙にカバンを盗られたり、汚れを一緒に拭く間に別の人物にカバンを盗られたりするなどの犯行も少なくないという。また、最近は高級腕時計や宝飾品の強奪が多発しているといい、これは白昼にも犯行が行われているとのこと。
ワンポイント・アドバイス
留学や研修等のために海外渡航を予定する学生等に対しては、海外危機管理の基本となるが、持参する貴重品は必要最小限にすること、自分の持ち物から注意をそらさないこと、席を取るために荷物を置いて離れるようなことはしないこと、ホテルや空港のチェックイン時、買い物や飲食の会計時などの手続きをしている最中も自分の周囲の人の動きに注意を払うこと、日本にいるときと同じ感覚で行動しないこと、を忘れないようにと伝えられたい。
2.【米州】アメリカ:各地のクリスマスイベントで銃撃事件発生
11月21日金曜日の夜、ノースカロライナ州のコンコード市で行われたクリスマスツリーの点灯式で銃撃事件が発生し、少なくとも4人が撃たれた。内3人は危篤状態と報道された。このイベントは毎年行われており、サンタが登場し屋台が出るなどし、花火が打ち上げられる予定だったという。
同じく金曜の夜、シカゴのダウンタウンで、ミレニアムパークのクリスマスツリーにライトが点灯した数時間後、2件の銃撃事件が発生し、少なくとも1人が死亡、8人が負傷した。ミレニアムパークは観光客も多く訪れるシカゴのランドマークの一つであり、事件発生日はツリーの点灯式とクリスマスマーケットの開催初日だったため、大勢の人が集まっていたとのこと。
ワンポイント・アドバイス
アメリカでは感謝祭が過ぎると本格的なクリスマスシーズンが始まる。各種イベントも各地で多数行われると思われる。人が集まる場や華やかな場は、突然の内輪揉め・ケンカを発端とした事件から無差別攻撃事件まで、暴力・攻撃事件の現場となりやすい。さらにアメリカは銃社会であるため、銃を使用した事件となるケースが多くなる。
アメリカ滞在中またはこれからアメリカへ渡航を予定する学生等に対しては、クリスマスシーズン中は事件発生リスクが通常以上に高まることから、大勢の人が集まるイベントやショッピングモール、空港などでは特に、周囲に異変がないかどうかを常に気にしながら行動するよう伝えられたい。
3.【アフリカ】エチオピア:火山噴火で上空広範囲に影響
11月23日、エチオピア北東部にあるハイリ・グッピ火山でおよそ1万年ぶりに大規模な噴火が発生した。アメリカ航空宇宙NASAによれば、火山灰が紅海を越えて流れる様子が確認されており、トゥールーズの火山灰情報センターによれば、火山灰はイエメンやオマーン、パキスタン、インドから中国方面へ広範囲に流れ、周辺国の航空当局が警戒を強めている。
噴火により多量の火山灰が大気中に放出されると、航空機の運航へ重大な影響を及ぼすおそれがある。今後の火山活動の状況次第では、付近を飛行する航空便の経路変更などで、遅延等の影響が生じる可能性がある。インドの航空会社エア・インディアが複数の国内線国際線の欠航を発表したとのこと。25日には火山活動が一旦沈静化したとされるが、しばらく注意が必要とみられている。
ワンポイント・アドバイス
大規模噴火に伴う火山灰・噴煙は航空機の運航に影響を及ぼすことがある。近々、火山灰が流れる地域を通るルートを飛行する航空便の利用を予定する学生がいる場合は、最新の運航状況を確認しつつ、行動するよう伝えられたい。
4.【欧州】ベルギー:全国規模のストライキ実施
ベルギーでは、11月24日から26日の3日間にわたり、全国規模のストライキを実施した。政府の予算削減や年金改革に抗議するものとみられている。ストライキは事前に予告されており、24日は公共交通機関がストライキを開始し、25日は学校や病院など公共サービスが加わり、26日には全ての分野を対象とする全国ストライキを予定するとしていた。この影響で、ブリュッセル空港では11月26日の全出発便を欠航した。一部到着便も欠航となった模様。
ベルギーはこれまでにも全国ストライキを実施しており、大きな影響が出ていた。
ワンポイント・アドバイス
ストライキが実施されると、交通機関や公共サービスに大きな影響が出る場合が多い。これから12月に向け、欧州の他の国々でもストライキの計画が発表されたりしている。航空関連のストライキは、出発・帰国に直接影響することになるので、これから12月に向け航空機を利用する予定がある学生等に対しては、ストライキの予定も含め、最新の運航状況は必ず確認するよう伝えられたい。現地に滞在中も、ストライキにより交通機関の混乱や移動の困難が発生する可能性があるので、ストライキの情報には敏感になり、なるべく影響を受けずに済むように対応するよう伝えられたい。
また、ストライキ実施に伴うデモや集会なども実施される場合がある。これらの周辺では通行規制が敷かれたり、想定外の騒動になったりするリスクがあるので、参加したり近づいたりしないように伝えられたい。
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