海外危機管理オリエンテーション | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|教職員向け

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海外危機管理オリエンテーション

海外危機管理オリエンテーション

海外危機管理オリエンテーションは、渡航前の学生・生徒に対して、新しい環境、特に海外で生活する際、危機やトラブルに対応するための「方向付け」、「動機付け」を目的に実施します。オリエンテーションを通じて日本とは異なる生活環境の中で発生するトラブルや危機を自覚し、その対応策を学び備えることで、留学中の事故回避や被害軽減を目指しています。
学校法人には学生・生徒に対する2つの「安全配慮義務」が課せられています。海外でのトラブルや危機に対して重大な損害や被害を予見できていたかどうかの「結果予見義務」、そして損害・被害を回避するための対応・配慮がなされていたかの「結果回避義務」です。これらの義務を遂行する上でも、渡航前の危機管理オリエンテーション実施は、大学・学校にとって重要なイベントの一つであるといえます。

大学・学校が実施するオリエンテーション

海外危機管理オリエンテーションは渡航者全員が対象

リスクは渡航先国、渡航期間、学習内容等によって異なるほか、渡航者によって想定される海外でのリスクは様々です。例えば、留学経験があり語学が堪能な学生と、初めての海外で語学力がそれほど高くない学生ではトラブルが発生した際の解決力に差があるのは明らかです。本来であれば各渡航者に合わせたオリエンテーションを行うことが望ましいのですが、時間的、物理的な制約がある場合は、最低限必要とされる共通のテーマや項目を学内で設定し、渡航者全員が同じレベルの事前知識を得られるようにすることが重要です。

また、オリエンテーションでカバーしきれない内容については、各渡航者に合わせたリスクの事例やその対応・解決方法を示すハンドアウトを追加的に配布したり、危機管理ハンドブック等の副教材を作成して、情報を補完することをお勧めします。

海外危機管理オリエンテーションの構成

実施にあたり、以下の内容を準備、検討します。

【例】
所要時間の検討
90分が一般的です。お昼休みの時間帯を活用して60分程度にまとめる、またはオンラインを併用する方法もあります。
参加対象の検討
短期研修参加者、長期留学参加者、教職員など、渡航の目的にあわせて大まかなグループ分けをして実施します。
扱うテーマの検討
時間的な制約もあるため、事故やトラブルの重要性や頻度を考慮した上で、扱うテーマを決めます。日本と渡航先国の違いによるリスクを明確に伝えることがポイントとなります。
<テーマ例> 健康、強盗・窃盗、テロ・紛争、 自然災害、メンタルヘルス、交通、法令、麻薬、宿泊、犯罪・詐欺被害、疫病・パンデミック etc.
準備する機材、教材の検討
プロジェクター、パワーポイント、ハンドアウト資料、危機管理ハンドブック etc.

オリエンテーションの進め方

オリエンテーションでは時間的な制約などがあり、仔細にわたっての説明は難しいと思われます。渡航先国や事故例の頻度に応じて、分かりやすく内容をまとめること、また、進め方に工夫をすると受講者の理解が深まります。

【例】
クイズ・
シミュレーション
レクチャー式の説明の中に、テーマにそったクイズを織り込み、学生自身に考えさせる工夫。事故に遭遇したと想定し、その対応のシミュレーションを小グループで実施するのも有効。危機を自分の身に引き寄せて考えることができるようになります。
ワークショップ形式
特定の渡航先や環境について、リスクの洗い出し→リスク分析→リスク評価→リスク対応、という一連の流れを実践します。受講者が自主的に考え、結論を導き出す過程を経験します。個人単位でも、グループでも実施可能です。
専門講師による講演
海外で発生した事件・事故を、数多く経験している専門家を招いてレクチャーを行います。現場のリアルな体験や事例に触れ、危機の遭遇を現実のものと捉え、それを回避行動につなげるように導きます。

オリエンテーション進行例

オリエンテーション進行例

海外危機管理オリエンテーションの参考サイト・情報収集の方法

危機管理全般
健康・伝染病
自然災害
派遣先教育機関の
ホームページ
アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド等の高等教育機関の安全に関するウェブサイトには危機事象への対処方法やサポートに関する案内があります。
渡航先の
犯罪発生状況
渡航先都市の管轄警察ホームページの情報。犯罪発生マップを公開していることがあります。
派遣先校、
留学生からの情報
・派遣先校の担当者から、現地の詳細情報を入手することは重要です。日頃からコンタクトを保ち、信頼関係を築いておくことは緊急対応の際にも役立ちます。
・帰国した学生からの報告書、留学中の学生からの定期報告などに含まれる情報は、学生目線の危機管理に役立ちます。
犯罪統計

JCSOSが提供する海外危機管理オリエンテーション <講師派遣>

JCSOSでは、危機管理の専門家を講師として大学・学校へ派遣する、海外危機管理オリエンテーションを実施しています。想定される危機、世界と日本の犯罪統計、危機回避の具体的行動、異文化適応とトラブルなど、豊富なケーススタディを交えながら渡航者の危機意識を高めます。

海外危機管理オリエンテーション補助教材

オリエンテーション当日に配布する資料の他、学内で作成した危機管理ハンドブック等があると、オリエンテーション終了後の復習や事故遭遇時の備えとして役立ちます。JCSOSでは、協議会が監修した「海外留学 危機管理ハンドブック」を販売しています。汎用的な内容で、1冊から購入いただけます。

危機管理ハンドブック
A5版 64ページ(第1~第4章)
  • 留学生が知っておくべき「危機への備え」
  • 出発前と留学中。場面ごとに、わかりやすい事例を豊富に紹介
  • 渡航前オリエンテーション、事前学習での活用